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特別権力関係

・ このページの最終更新日時 2016年12月6日 (火) 17:43




特別権力関係」の掲示板 / コメント

とくべつけんりょくかんけい

私人が国家の構成員として、すなわち一般国民の立場において国・公共団体の支配に服する関係を一般権力関係という。憲法の規定は、この一般権力関係において基本権を保障している。これに対して、伝染病予防法に基づく強制収用公務員の任命、国公立学校への入学などのように、特定の国民が、特別の法律関係に基づいて、一定の範囲内において、国・公共団体に対して特別の従属関係に服する場合がある。これを一般権力関係に対し特別権力関係といっている。
この特別権力関係という概念は、君主の下僕である官吏は、一般国民と異なる特別の包括的な服従関係にあり、その限度において法治主義の原則の適用が排除され、法治主義の原則によらない特別な命令強制関係にあることを説明するために利用された。
憲法は、国民主権基本的人権の尊重、法治主義の原則を採用しているので、右のような考えに依拠する特別権力関係理論は破綻したことになる。しかし現実にはかかる特別に強められた公法上の部分社会における従属関係が存することは否定できない。したがって現在この特別権力関係の理論は、国・公共団体などと特別の従属関係に立つ者を、命令、懲戒その他の特別の規律に服せしめることを説明するための理論として使われている。
特別権力関係の種類――このような特別権力関係に服するものについて、一般には次のような分類がなされている。
<1> 公法上の勤務関係――国家公務員の国に対する勤務関係、地方公務員地方公共団体に対する勤務関係など、
<2> 公法上の営造物利用関係――国公立学校の学生・生徒の在学関係、国公立病院の入院患者の在院関係、受刑者刑務所に収監服役する関係など、
<3> 公法上の特別監督関係――特許企業者行政事務の受任者のように国家と特別の関係に立つ者に対する国の監督関係など、
<4> 社団関係――公共組合における組合と組合員との関係など、である。
右の特別権力関係の種類から明らかなように、この特別権力関係というのは行政機関、学校、病院、刑務所といった公法上の部分社会における法律関係の問題である。すなわち、行政機関や学校などの公法上の部分社会の法律関係は、いわゆる、(イ)一般権力関係、(ロ)私人間の法律関係、(ハ)私企業などにおける法律関係とは異なるということである。
そして特別権力関係(公法上の部分社会の法律関係)が消滅する場合としては、<1>国公立の学校の学生・生徒が卒業したとか、国公立病院の入院患者の病気が全快して退院するといったように、その目的が達成された場合、<2>公務員が辞職した場合のように、自ら特別権力関係から退く場合(ただし、この場合は特別権力関係の成立が同意による場合に限られる)、<3>学生の退学処分療養所の入所患者の退所処分のように、権力主体による一方的解除による場合が挙げられる。
特別権力関係における命令権と懲戒権――特別権力関係において一般に認められている包括的支配権は、命令権と懲戒権がある。命令権は公務員関係における職務命令のように、その目的遂行上必要な限度において法律の根拠なくして命令強制をなし得る権力をいい、懲戒権とは公務員に対する懲戒処分、また国公立学校の学生・生徒の学則違反のように、その秩序維持のために秩序を乱し、命令に従わない者に対し行政主体懲戒する権力のことをいう。
なお、特別権力関係と基本権の保障の制度の問題については、特別権力関係のそれぞれの設定の目的・趣旨に照らし、その根拠となった法律、または相手方の提示した同意から合理的に判断し客観的に必要な最小限度にとどめるべきである。
特別権力関係司法審査――公務員、国・公立学校の学生、国・公立病院の入院患者にみられるように、この問題は公法上の部分社会の法律関係の問題である。
このような部分社会には自治が確立しているのが原則である。したがって、このような自治的な法規範の確立している部分社会におけるすべての紛争が、常に裁判所により公権的に解決されなければならないというものではない。特に裁判所権限とされていない限り、その部分社会内部の自治的処置に任されていると考えなければならない。
最高裁判所も、特別権力関係という用語を使用することを回避し、部分社会の自治という用語を使用してこの種の法律関係紛争を解決しようとしている。
例えば、国立大学単位不認定等違法確認訴訟において、最高裁は、「ひと口に法律上の係争といっても……それが一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、その自主的・自律的な解決に委ねるのを適当とし、裁判所司法審査の対象にならないものと解するのが、相当である」(最判昭和五二・三・一五)と、判示している。
このような自治が保障されている公法上の部分社会における法律上の紛争について裁判所がどこまで介入できるかということが最も重要な点である。
現在、通説・判例の態度は、司法権は一般権力関係(私人が国家の構成員として、すなわち一般国民の立場において、国・公共団体の支配に服する関係)の法の適用を保障するものであることを前提として、特別権力関係における行為を内部行為と外部行為(一般市民としての権利・義務に関するもの)とに分け、司法審査に服するのは外部行為の場合であり、その他の特別権力関係の秩序維持の行為は一般に抗告訴訟の対象となり得ないとしている。
最高裁も議員の三日間の出席停止の懲戒処分議会自治的措置に任されるものであるから、右処分無効確認または取消しを求める訴えは不適法であると判示した(最判昭和三五・一〇・一九)。一方、最高裁は、除名処分のごときは議員身分の喪失に関する重大事項であるとして、裁判権の介入を認めている(最判昭和三五・二・九)。







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